建築士試験の学科(構造)の鉄骨構造についてまとめてみました。
鉄骨構造は記号による記述や聞きなれない単語が多く、覚えにくい分野です。
過去の問題からは骨材の記号に関する問題や設計、接合などに関しての問題が出題されています。
★鉄骨構造 出題例
Q,鉄骨構造の接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.異種の鋼材を溶接する場合における接合部の耐力は、接合される母材の許容応力度のうち、小さいほうの値を用いて計算する。
2.高力ボルト摩擦接合は、圧縮応力の作用する接手に使用することができる。
3.一つの接手に「完全溶込み溶接」と「隅肉溶接」を併用するときは、各溶接継目の許容耐力に応じて、それぞれの応力の分担を決定することができる。
4.柱の継手の接合用ボルト、高力ボルト及び溶接は、原則として、継手部の存在応力を十分に伝え、かつ、部材の各応力に対する許容力の1/2を超える耐力とする。
5.重ね継手の隅肉溶接において、溶接する鋼板のかど部には、まわし溶接を行ってはならない。
A.(5)重ね継手において、側面隅肉溶接または前面隅肉溶接で、かど部で終わるものは連続的にそのかどをまわして溶接(まわし溶接)する。溶接の長さは隅肉のサイズの2倍以上とする。
引用元:総合資格学院・厳選問題集500+100 H31年度版
■目次
梁各部についての名称と種類
■梁の名称
フランジ・・・曲げに抵抗する。
ウェブ・・・せん断力に抵抗する。
スチフナー・・・ウェブの座屈を防止する。
ラチス・・・せん断力による軸方向に抵抗する。
■構造用鋼材の種類
SS材・・・一般構造用圧延鋼材
SN材・・・建築構造用圧延鋼材
SM材・・・溶接構造用延鋼材
SSC材・・・一般構造用軽量形鋼
STK材・・・一般構造用炭素鋼鋼管
STKR材・・・一般構造用角形鋼管
鋼材の記号は種別を表したあとに引張強さの下限値(N/m㎡)をつけて表す。
例)SM400A 溶接構造用延鋼材で引張強さの下限値が400N/m㎡を表す。
鉄筋は、丸鋼をSR、異形鉄筋をSDの記号で表し、これに続いてRがついたものは再生棒鋼を示す。
鉄骨構造の設計
■座屈について
幅厚比・・・小さいほど局部座屈を起こしにくい。
細長比・・・大きいほど許容応力度は小さい。
■設計について
トラス部材の応力の算定に当たっては一般に部材の伸縮の影響は考慮しない。
主要な梁材たわみは通常でスパンの1/300以下とする。
柱脚の接合形式は、根巻型・埋込型共に固定柱脚とする。また、柱脚の固定度を上げるには埋込型の方が有効である。
引張材の有効断面積は、ボルトなどの穴による断面積を考慮して算出する。
山形鋼、みぞ形鋼などをガゼットプレートの片側だけに接合する場合は、偏心の影響を考慮して設計する。
構造用鋼材の短期許容応力度は長期許容応力度の1.5倍とする。
鋼材に多数回の繰り返し荷重が作用すると、応力度の大きさが降伏点以下の範囲でも破断することがある。
■筋交いについて
筋交い材の断面を決める場合の構造用鋼材の短期許容応力度は、長期許容応力度の1.5倍とする。
山形鋼を用いた引張筋交いを、ガゼットプレートの片側だけに接合する場合、山形鋼の有効断面積は突出脚の1/2の断面積を減じたものとする。
鉄骨の接合
■溶接の設計上の注意点
溶接継目の形式は、突合わせ溶接・すみ肉溶接・部分溶込み溶接に大別される。
突合せ溶接は、全長にわたり断続しないように溶接する。
すみ肉溶接部の有効面積は、(溶接の有効長さ)×(溶接の有効のど厚)により計算する。
すみ肉溶接部の許容耐力は、(有効面積)×(許容応力度)により計算する。
ただし、溶接の有効長さは、(溶接の全長)-2×(サイズ)とする。
応力を伝達するすみ肉溶接の有効長さは、すみ肉溶接のサイズの10倍以上かつ、40mm以上を原則とする。
側面すみ肉溶接の有効長さが、すみ肉溶接のサイズの30倍を超える場合は、許容応力度を低減する。
構造計算に用いる重ね接手のすみ肉溶接のサイズは、薄い方の母材の厚さ以下とする。
■ボルト、高力ボルトの設計上の注意
高力ボルトの締め付けは、トルココントロール法又はナット回転法などにより、標準ボルト張力が得られるように行う。
高力ボルトの相互間の中心距離は、ボルト軽の2.5倍以上とする。
高力ボルトの許容せん断力は、設計ボルト張力やすべり係数を考慮して定められている。
溶接記号
ダイアフラムと柱フランジの接合は、すみ肉溶接である。
梁フランジと柱フランジの接合は、V形突せ溶接である。
ダイアフラムと柱ウェブの接合は、すみ肉溶接である。
梁ウェブと柱フランジの接合は、ウェブ両面4からの連続すみ肉溶接である。
まとめ
鉄骨の分野は毎年1~2問程度出題されます。
ひっかけ対策としては、すみ肉溶接部の有効面積についてや、重ね接手のすみ肉溶接のサイズにつて(母材の厚さ以下)など。
よく問題を見て、誤った回答を見つけられるよう問題に慣れておくことが大切です。